12:53:00
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5月のアパートに来ていただいたみなさんどうもありがとうございます。
アパート1Fは、4月からのテーマである「しずかなコミュニケーション」に、プラス
本を読んで過ごせるちょっとしたテラスを用意し,5月を過ごしました。
(僕にとってはかわいい小宇宙です。)
例えばそれは、何か明日の糧になるヒントを得る喜び。
一瞬にしてはるかセント・ピーターズバーグまで、想像力をふくらませることができる冒険の場所。
この有限の時間のなかで、そんな空間となれば。。。
自分から見た世界ではなく、自分が世界になるスピリットを持つこと。
そんな力強い生活を手に入れるには、WESTSTREETをぶらついても何も手に入らない。
というのはもはや犬もしっています。
「チープな感性に豊かな消費行動あらず」
・先日スーパーで、自分の買い物かごの中身にショックを受けました。
自分でごはんを作らなくなって、知らず知らずのうちに、情けないものしか入っていない。
(例えば、ビール、アイス、おかし、など。これではおじさんの遠足だ。。)
選ぶ自由があるはずなのに。
自分の血や肉を形成する食べ物を自分の責任で選ぶべきだと猛省しました。
料理がうまい人は選ぶという行為にきっと長けている。それは間違いない。
僕らの生活の中には選ぶ行為が無数にあり、ひとつひとつの行動が自分の選択によって決まる。
こんなことをやっているといいバイヤーにはなれない。
10年以上たってようやく気づく自分の幼稚さに我ながらあきれてしまいました。
6月のアパート。
何も普段と変わらないはずの非日常への旅。
変わらない場所で続いていきます。
楽しんでいただけるような空間を用意して
みなさまをお待ちしております。
最後に、この文章で5月を締めくくります。
以下は、スーザン・ソンタグの遺稿ともなった「若い読者へのアドバイス」です。
『良心の境界』(NTT出版)という本の序文に掲載されています。
この文章を本当に受け止めた人はすごく強くなれるとおもいます。
中村将司
若い読者へのアドバイス…
(これは、ずっと自分自身に言いきかせているアドバイスでもある)
人の生き方はその人の心の傾注(アテンション)がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡です。
注意力(アテンション)の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。
人はつねに成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。
新しい刺激を受けとめること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。
検閲を警戒すること。
しかし忘れないこと―――社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は、自己検閲です。
本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、歓喜を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。
その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はありません(ちなみに、これは映画についても言えることです)。
言語のスラム街に沈み込まないよう気をつけること。
言葉が指し示す具体的な、生きられた現実を想像するよう努力してください。たとえば、「戦争」というような言葉。
自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。
自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。
動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。
もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。
時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の埋めあわせをしてくれます。
たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を呼び覚ましてくれます。
この社会では商業が支配的な活動に、金儲けが支配的な基礎になっています。商業に対抗する、
あるいは商業を意に介さない思想と実践的な行動のための場所を維持するようにしてください。
みずから欲するなら、私たちひとりひとりは、小さなかたちではあれ、
この社会の浅薄で心が欠如したものごとに対して拮抗する力になることができます。
暴力を嫌悪すること。国家の虚飾と自己愛を嫌悪すること。
少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券を持たず、冷蔵庫と電話のある住居をもたないでこの地球上に生き、
飛行機に一度も乗ったことのない、膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、と想像してみてください。
自国の政府のあらゆる主張にきわめて懐疑的であるべきです。
ほかの諸国の政府に対しても、同じように懐疑的であること。
恐れないことは難しいことです。ならば、いまよりは恐れを軽減すること。
自分の感情を押し殺すためでないかぎりは、おおいに笑うのは良いことです。
他者に庇護されたり、見下されたりする、そういう関係を許してはなりません
――女性の場合は、いまも今後も一生をつうじてそういうことがあり得ます。
屈辱をはねのけること。卑劣な男は叱りつけてやりなさい。
傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。
眼前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。
そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはなりません。
傾注は生命力です。それはあなたと他者とをつなぐものです。
それはあなたを生き生きとさせます。いつまでも生き生きとしていてください。
良心の領界を守ってください……。
2004年2月
スーザン・ソンタグ
アパート1Fは、4月からのテーマである「しずかなコミュニケーション」に、プラス
本を読んで過ごせるちょっとしたテラスを用意し,5月を過ごしました。
(僕にとってはかわいい小宇宙です。)
例えばそれは、何か明日の糧になるヒントを得る喜び。
一瞬にしてはるかセント・ピーターズバーグまで、想像力をふくらませることができる冒険の場所。
この有限の時間のなかで、そんな空間となれば。。。
自分から見た世界ではなく、自分が世界になるスピリットを持つこと。
そんな力強い生活を手に入れるには、WESTSTREETをぶらついても何も手に入らない。
というのはもはや犬もしっています。
「チープな感性に豊かな消費行動あらず」
・先日スーパーで、自分の買い物かごの中身にショックを受けました。
自分でごはんを作らなくなって、知らず知らずのうちに、情けないものしか入っていない。
(例えば、ビール、アイス、おかし、など。これではおじさんの遠足だ。。)
選ぶ自由があるはずなのに。
自分の血や肉を形成する食べ物を自分の責任で選ぶべきだと猛省しました。
料理がうまい人は選ぶという行為にきっと長けている。それは間違いない。
僕らの生活の中には選ぶ行為が無数にあり、ひとつひとつの行動が自分の選択によって決まる。
こんなことをやっているといいバイヤーにはなれない。
10年以上たってようやく気づく自分の幼稚さに我ながらあきれてしまいました。
6月のアパート。
何も普段と変わらないはずの非日常への旅。
変わらない場所で続いていきます。
楽しんでいただけるような空間を用意して
みなさまをお待ちしております。
最後に、この文章で5月を締めくくります。
以下は、スーザン・ソンタグの遺稿ともなった「若い読者へのアドバイス」です。
『良心の境界』(NTT出版)という本の序文に掲載されています。
この文章を本当に受け止めた人はすごく強くなれるとおもいます。
中村将司
若い読者へのアドバイス…
(これは、ずっと自分自身に言いきかせているアドバイスでもある)
人の生き方はその人の心の傾注(アテンション)がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡です。
注意力(アテンション)の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。
人はつねに成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。
新しい刺激を受けとめること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。
検閲を警戒すること。
しかし忘れないこと―――社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は、自己検閲です。
本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、歓喜を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。
その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はありません(ちなみに、これは映画についても言えることです)。
言語のスラム街に沈み込まないよう気をつけること。
言葉が指し示す具体的な、生きられた現実を想像するよう努力してください。たとえば、「戦争」というような言葉。
自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。
自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。
動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。
もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。
時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の埋めあわせをしてくれます。
たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を呼び覚ましてくれます。
この社会では商業が支配的な活動に、金儲けが支配的な基礎になっています。商業に対抗する、
あるいは商業を意に介さない思想と実践的な行動のための場所を維持するようにしてください。
みずから欲するなら、私たちひとりひとりは、小さなかたちではあれ、
この社会の浅薄で心が欠如したものごとに対して拮抗する力になることができます。
暴力を嫌悪すること。国家の虚飾と自己愛を嫌悪すること。
少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券を持たず、冷蔵庫と電話のある住居をもたないでこの地球上に生き、
飛行機に一度も乗ったことのない、膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、と想像してみてください。
自国の政府のあらゆる主張にきわめて懐疑的であるべきです。
ほかの諸国の政府に対しても、同じように懐疑的であること。
恐れないことは難しいことです。ならば、いまよりは恐れを軽減すること。
自分の感情を押し殺すためでないかぎりは、おおいに笑うのは良いことです。
他者に庇護されたり、見下されたりする、そういう関係を許してはなりません
――女性の場合は、いまも今後も一生をつうじてそういうことがあり得ます。
屈辱をはねのけること。卑劣な男は叱りつけてやりなさい。
傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。
眼前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。
そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはなりません。
傾注は生命力です。それはあなたと他者とをつなぐものです。
それはあなたを生き生きとさせます。いつまでも生き生きとしていてください。
良心の領界を守ってください……。
2004年2月
スーザン・ソンタグ
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